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吸気管長の検討

エンジンチューニングの手法と言われるものはたくさんあります。
基本とされるものは、良い混合気・良い圧縮・良い火花の3要素です。
しかし、最優先に考えなくてはならないことは、いかに多くの混合気をシリンダー内に吸入するかということです。
多くの混合気を燃やすことができれば多くの出力を得ることができます。
いちばんわかりやすくて簡単なのは排気量を上げることです。
「ボアアップに勝るチューニングはなし」なんて言われます。
ターボなどの過給器も同様ですね。加圧することでたくさんの混合気をシリンダーに吸入させようとするものです。

レースレギュレーションにおいて、排気量や過給器の有無についての規定がないものはほとんどないことからもわかるとおり、これらの手法による出力向上効果は劇的ということです。
また、同じくレースレギュレーションでよくあるのが、ベンチュリ径を制限したりリストラクターを装着したりする吸気制限です。
これも、出力に与える影響が大きいことを利用しての手法です。

これらのことからもわかるとおり、吸気効率の向上がエンジンの出力の向上に直結するということは明らかな事実なのです。
改善による効果が高いのですから、最優先にやるべき課題ということです。

自然吸気エンジンの場合、容積が500ccのシリンダーに吸い込める混合気の量は500ccです。
500ccのコップには500ccの水しか入れることはできませんよね。
当たり前のことです。
でも、高性能な自然吸気エンジンは、500ccのシリンダーに550cc、いや600ccくらいの混合気を吸い込んで燃焼させているのです。
気体は液体と違って圧縮性を持っていますのでこんなことも可能なんですね。
じゃあ、500ccのシリンダーにそれ以上の混合気をターボも使わないでどうやって入れているのって疑問が出ますね。
その秘密の代表が慣性吸気効果です。
気体にも重さがありますので、いったん速いスピードで動き出した混合気は、ピストンが吸気下死点を通り過ぎてもその勢いで流入を続けるんです。
その他にも、排気系やバルブオーバーラップのセッティングによる掃気効果の向上なども慣性吸気効果をサポートします。

この慣性吸気効果を最大限に発揮するために重要な要素となるのが吸気管長のセッティングです。
ここでまず思い浮かぶのはファンネル長さを変えることでしょうか。
可変ファンネルなどというシステムを採用しているエンジンもあるくらいですので、確実な効果があるということなのでしょう。
ここで、吸気管長の計算式というのがあります。
L(吸気管長)=2550÷N(エンジン回転数)
例えば、8000rpmで吸気脈動が同調して慣性吸気効果が最大になるのは、
2550÷8000=0.318
318mmということです。
この吸気管長というのは、ファンネル先端部からインテークバルブシートまでの吸気管の全長ということです。

先に可変ファンネルと書きましたが、この式からもわかるとおり、この同調のための吸気管長はエンジン回転が高くなれば短くなりますし、低くなれば長くなります。
これが、短いファンネルは高回転型で長いファンネルは低回転型と言われる理由なのですね。

しかし、ここで気をつけなくてはいけないのは、考えるべきことはあくまでも吸気管長であってファンネル長ではないということです。
例えば、高回転狙いの目的で短いファンネルを装着しても、スピゴットが長くて吸気管長としては短くなっていないとしたら、わかってないねってことになります。
この課題をつきつめるとエンジンの基本設計から見直すなどという素人には到底手を出せない領域の話になってしまいますが、現実に入手可能な材料の組み合わせを工夫するなどし、これらのセオリーを踏まえた上で整合性のあるチューニングやセッティングをすることで、さらに満足度が高いものができるのではないかと思うのです。
まあ、自己満足が90%以上なのでしょうけれど・・・

現実には、インシュレーター、スピゴット、ファンネルの3点の長さを調整するくらいしか素人プライベートチューナーにはできませんから、具体的にはこれらをどうするかということです。

ここで併せて考えたいのは、吸気管のどこにキャブレターを置くのかということです。
具体的には、同じ吸気管長にする場合に長いスピゴットに短いファンネルにするのか、はたまた短いスピゴットに長いファンネルにするのかということです。

このテーマは、吸気脈動と慣性吸気効率の問題ではなく、混合気の霧化特性とスロットル急開時の燃料搬送遅れによるレスポンス低下の問題です。
キャブレターをエンジンから遠ざけるとガソリンが空気と混ざるための時間が長くなりますので霧化性は向上しますが、スロットル急開時に空燃比が薄くなる傾向が強まってスロットルレスポンスは低下する方向になりますし、エンジンに近づけると逆の傾向になります。

インジェクションのハイパフォーマンスエンジンで、インジェクターがダブルになっているものがありますよね。
エンジンに近いところと遠いところの2ヶ所です。
中には、ファンネルの上にヤグラを組んでファンネルの真上の大外から吹いているものさえあります。
これも、遠いところのインジェクターから吹いたガソリンは霧化が進んで燃焼効率が上がり、これが高回転の伸びや高出力化に寄与します。
そして、エンジンの近くでも吹いてレスポンスを向上させます。
ECUコントロールによる燃料噴射制御ですから、この2ヶ所のインジェクターからどのような配分で吹くかなどということもエンジン回転数やスロットル開度、その他諸々の条件でコントロールしているのです。


また、霧化特性の向上もレスポンスの向上もどちらも欲しい要素ですが、キャブレターとエンジンの距離という要素は、このふたつの特性を左右するひとつの要件に過ぎないということも忘れてはいけません。
たとえば、キャブレター自体の特性として霧化性に優れていて、これによってそのエンジンが求める霧化特性を十分に満たしているということであれば、エンジンに近づけることでレスポンス向上を優先することができるでしょうし、点火システムに十分な能力があって、多少霧化条件が悪くてもきちんと燃やすことができるのであっても同様ですよね。

つまり、こういった形でトータルに考え、自分の意図したエンジンを作り上げるということです。
とはいっても、これらの効果を厳密に検証するためにはメーカーなみの測定機器やテストが必要になるはずですので、先にも書いたとおり、ほとんどは自己満足に過ぎないというのも事実とは思いますが・・・
でも、素人のできる範囲内であったとしても、目的に対してできる限り整合性のある手法を尽くし、現実に得ることができる材料を最大限に活用しつつ、かつ創意工夫を凝らした結果であれば、それなりの効果を得ることができるはずと信じていますし、そこには、自分が自分の明確な意思に基づいてセットアップしたエンジンなんだという満足感を得ることができるのではないかと思うのです。

ちなみに私のGSエンジンは、霧化特性に優れるとされるTMRキャブレターに十分な点火性能を持つウオタニSP-2に加えてTPS制御による緻密な点火時期コントロールを行っていることと併せて、キャブレターをエンジンになるべく近づけた上で長めのファンネルを装着して吸気管長を調整しています。


まあ、自己満足ですけどね・・・

最後にちょっと・・・
よく、巷ではポート研磨について語られていますね。
ザラ目がいいとか鏡面がいいとかに始まり、ポート形状などについて様々なチューナーと言われる方々が意見を述べられています。
実際にどれがいいのかということはさておいて、ポートの形状や表面仕上げというのは、エンジンの吸排気効率を追求するなかで、吸気管経路の設定要素のひとつとして語られるべきものと思うのですね。
トータルの中の要素に過ぎないということです。
ところが、なにか、吸排気チューニングというとポート研磨加工が主役であるかのような語られらかたをしているように感じるのは私だけでしょうか・・・?

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Comment

Re: レデューサの効果? 

そのようなことはないと思うのです。
現在、装着されているのであれば、もう一度外した状態で走ってみることをお勧めします。
きっと体感できるのではないかと思うところです。

> 有難う御座いました。私の体感センサーが鈍いのかもしれません・・・(泣)
  • posted by mameshiba198 
  • URL 
  • 2011.10/05 10:25分 
  • [Edit]
  • [Res]

レデューサの効果? 

有難う御座いました。私の体感センサーが鈍いのかもしれません・・・(泣)
  • posted by テッチャン 
  • URL 
  • 2011.10/05 09:24分 
  • [Edit]
  • [Res]

Re: レデューサの効果? 

いつも記事をお読みいただいているとのこと、ありがとうございます。
お尋ねの件ですが、リングやシリンダーが摩耗していることとレデュサーの体感効果程度の相関関係は薄いのではないかと思います。
CB550に装着とのことですが、同系エンジンである私のCB650では大きな効果を体感しましたし、友人のこなっとさんのCB550Fでも同様です。装着時のリードバルブの作動状況からしても、この系統エンジンは、比較的ケース内圧が高い傾向にありますので、効果は高いものと思います。

  • posted by mameshiba198 
  • URL 
  • 2011.10/04 17:27分 
  • [Edit]
  • [Res]

レデューサの効果? 

はじめまして、毎回考察鋭い記事に脱帽です。
日常整備の参考になり有難う御座います。
今回空冷OHC4気筒CB550F-Ⅱにツインリード装着しましたがエンブレ、スムーズ感他特に効果を感じません。
ピストンリングやシリンダーの磨耗、ギャップが過大なればブローバイ吹き抜け量多く効果望めないなど考えられますでしょうか?

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