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GS1000と日々の日記

ファクトリーまめしばにおける日々の作業内容についてご紹介しております。

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TMR35にTPS装着 その4(TPSによる3次元マップ制御とは)



08年5月8日

30年前のエンジンに現代の技術による制御・・・
どんなフィーリングを味あわせてくれるのか・・・

エンジンオーバーホールしました。
ピストン、バルブ、バルブガイド、シートカット・・・・
セオリーどおりにやれることはそれなりにきちんとやりました。
ポートも仕上げました。
カムもちょっとハイカムです。

でも、これって30年前と変わらない作業ですね。

キャブをFCRにしました。
これからTMRを試してみます。

点火系はウオタニにしました。
マフラーも現代の技術で作られたものにしました。
効果てきめんでした。

普通はこのあたりで終わりです。



90年代の終わりころ、各メーカーの車両には足並みを揃えたかのようにTPSが装着されました。
それまで装着されていなかったモデルにもマイナーチェンジなどを機に装着されました。

目立たない装備ですし、メーカーもそんなに宣伝していませんでした。
逆に、FCRやTMRなどに交換する際にTPSをどのようにキャンセルするかということの方が先行したように思います。
ほとんどはコネクターを遊ばせておくだけで何もする必要がないんですけどね。
こうすれば全開時の点火時期に固定されるので問題ないということです。
巷では、最大進角度数を変更するためのピックアップローターが社外品のスペシャルパーツとして売られるようになりました。
TPSについて、雑誌記事でもほとんど取り上げられることもありませんでした。

そういう私も、ZRX1100のエンジンチューニングにはまっていたころ、数度の最大進角の違いを求めてZZR1100のイグナイタユニットを加工流用したりしました。
ノーマルのTPSを捨て去って・・・

関心は、ピークパワーを向上させるために、メーカーがマージンとして残した進角を更に進めること・・・

点火時期制御は、大昔は固定進角でした。
そして手動2段切り替え進角というシステムになり、遠心ガバナーによる自動進角、さらにはデジタルイグナイタによるバリアブルな進角・・・

これらの進化による効果は絶大でした。
ドライバビリティー、出力、燃費、全てが飛躍的に向上しました。

でも、固定進角から90年前後に登場したデジタルイグナイタまで数十年の時間を要していますが、その間、エンジン回転数に比例させて進角させるということには変わりがありませんでした。

エンジンは、圧縮上死点後約10度の時に燃焼室内圧力が最大になるように点火すると最も効率良く出力できます。
圧縮された混合気に点火プラグのスパークによって着火され、これが混合気に燃え広がって圧力が高まるんですね。
スパーク直後にプラグ電極間に火炎核が形成され、この火炎核が周囲の混合気に燃え広がるというプロセスを経ますが、燃え広がる速度(火炎伝播速度)はエンジン回転の高まりに伴ってある程度速まります。しかし、火炎核形成に必要な時間はほぼ一定です。
なので、エンジンが高回転になればその分だけ早く点火してやらないと圧縮上死点後約10度に間に合わなくなります。
なのでエンジン回転の上昇に従って点火時期を進角させていかなくてはならないんですね。

細かくはもっと色々とありますが、おおまかに表現すればこんなところです。

じゃあ、火炎伝播速度に影響を与える要素って、エンジン回転数以外にないのかというと、あります。
ざっくりと表現すれば、圧縮比が高くなれば火炎伝播速度は速くなります。
正確に言えば、ここで言う圧縮比というのはカタログに記載されているメカニカルな計算上の圧縮比とはちょっと異なり、燃焼室内での実質的な圧縮圧力のことを言います。

ちょっとまわりくどい表現になりましたが、つまりはこういうことです。

スロットル開度が大きければたくさんの混合気がシリンダー内に入りますが、エンジン回転数が同じでも開度が小さければ混合気は少ししか入りません。
メカニカルな圧縮比が同じであっても、スロットル開度が大きい方が燃焼室内の圧縮圧力は高くなるということです。

なので、エンジン回転数が同じであっても、スロットル開度が大きければ火炎伝播速度が速くなり、小さければ遅くなるということです。
ですので、圧縮上死点後約10度のための適正な点火時期は開度が大きければ遅く、小さければ早くなるということです。

これは、エンジン回転数のみによる点火時期制御では絶対的に実現不可能なことですよね。

これを実現したのがTPS(スロットルポジションセンサー)を加えた三次元マップによる点火時期制御です。

これって、固定進角から数十年かかったデジタルイグナイタまでの進化に匹敵するくらいの進化ではないかと思うんです。

だいぶ前からやってみたかったんです。

でも、キャブにTPSユニットを装着し、さらにはこれを制御するためのイグナイタユニットをマッチングさせるという作業が必要になります。

GSに装着できる出来合いのものなんてありませんし、個人で作るのはちょっと・・・

今回、TMRを装着しようと試みていますが、キャブの専門家に相談してみました。

「私のTMRにTPSって装着できますか?」

あっさりと・・・

「はいできますよ、チョイチョイです。」

ウオタニさんに聞きました。

「今、GS1000にカタナ1100用のキットを組んでいますが、これにTPS制御を加えることは可能ですか?何としてでもやってみたいんです。お願いします。」

色々と話し合いました。

「じゃあ、やりましょう!!今、ウチで出しているZ用のユニットはTPS対応のプログラムを入れてありますが、実際にこれを生かしている車両は数台しかありません。また、Z用はTPS制御による進角度数差を6度にしてありますが、あなたのエンジン仕様なら進角度数差10度くらいがいいと思いますのでそうしましょう。」

ウオタニさん、ありがとうございます。
数日後、ウオタニさんから連絡がありました。

「ウチで作ったGS1200SSのユニットをベースにして適合させることができますので、そんなに手間をかけずにできます。TPSユニットからの出力電圧は、スロットル全閉時が0.7~0.75V、スロットル全開時は3.85~3.9VになるようにTMRにセットしてください。あとは大丈夫です。」

まだちょっと時間はかかりそうですが、楽しみです。

エンジン回転のみでの制御では、その進角特性は基本的に全開時に合わせてあります。
でも、これではハーフスロットル時には点火時期が遅いんですね。
ハーフスロットルでのツキを求めて点火時期を進めていくと、今度は大きく開けていったときに点火時期が早すぎてノック気味になってしまいます。
今までもこんなジレンマを感じてはいましたが、TPSの装備によって大きく進化させることができるはずです。

でも、その他のパーツと同じですが、セッティングしなきゃダメですよね。
TPSの制御電圧、イグナイタの進角カーブ選択、ピックアップローターのスライド、セッティングできる項目が増えるに従ってセッティングの幅は広がりますが、逆に混乱する要素も増えるということになります。
ですので、各パートごとの意味をきちんと理解した上でデータ管理をしながらセッティングしなきゃいけませんよね。
同時に、キャブセッティングとも密接に関連してきますので、結構大変な作業になりそうです。


画像は、TDMR42に装着されたTPSユニットです。
これと同じものを私のTMR35にも装着する予定です。
外からはTPS付きということがわからないというのもいいですね。
装着後、一体何人の人が気づくのか、それもちょっとお楽しみです。

あっ、TDMR42って・・・何?
いいえ、そこには突っ込まないでください。
ヒミツです。
名前と画像で「はは~ん」とわかる方へ・・・・
私、何も悪いことはしていません。許してください。

追記
この、TPSによる点火時期の3次元マップ制御によって、30年前のエンジンは、その味わいはそのままに、現代のエンジンと同等のドライバビリティーを獲得しました。
その上質な吹け上がりとスムーズなレスポンスは、キャブレターや排気系のセッティングだけでは絶対に得ることができないものです。特に、開け始めから中開度領域での豊かなトルク感はこれなくしては得られないフィーリングですし、さらには、キャブセッティングの許容範囲を大きく広げてくれるのも特筆すべき効果のひとつです。近年のマシンには例外なく装着されていることからも、その効果は確実なものということですよね。

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