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GS1000と日々の日記

ファクトリーまめしばにおける日々の作業内容についてご紹介しております。

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フロント周りの剛性向上計画 その4

08年9月30日

計画中のフロント周りの剛性向上計画ですが、とりあえず装着して試走してみました。

まずは装着ですが、4本のスタッドボルトのうち、3本が抜けませんでした。
8mmのスタッドプーラーが行方不明になってしまったので、仕方なくダブルナットを使ってやったのですが、1本しか抜くことができなかったのです。





この4本のスタッドですが、いずれも伸びてしまっていて、ネジピッチが広がってしまってました。
やはり強度不足ということです。
このスタッドには引っ張り応力がかかっているのですが、これにボルト強度が負けてしまっているということですね。
とりあえずはダイスで修正したのですが、ダブルナットを締め付ける時点でギューッと伸びる感じがして、あまり無理をするとねじ切ってしまいそうでしたので、後日プーラーを調達してからやり直します。






こんな感じで装着しました。
フロントアクスル周りの部品を交換するのですから、フォークの整列調整とキャリパーのセンター出し作業をやり直さなくてはいけません。
この調整に約1時間、仮組みしてはチェックしを数回繰り返します。
一旦きちんと調整してしまえば、その時点でのカラーの付きだし量を計測し、以後はその数値に合わせて組み付ければ基本的にはOKになります。

1本はクロモリボルトに交換しましたが、3本は伸びたノーマルスタッドをそのまま使っていますので、私が想定した設定には至っていません。

そうはいっても、とりあえずは走れる状態にはなりましたので、箱根に行って試走です。

普通に街中や高速道路を流すように走っている間には、特に剛性が上がったなどと体感することはできませんでしたが、ちょっと強めにブレーキングしたり、スラロームをしてみると、フロント周りのリニアリティーが向上していることを体感します。
その後箱根山中に入り、コーナー進入時や切り返し時の挙動を確認しました。

結論は、アクティブに走ろうとした場合、スタンダードとの差は歴然です。
あえて表現するならば、それまでに存在が曖昧だったフロントタイヤの居場所がわかるようになったとでも言いましょうか・・・

効果が特に実感できるのは、たとえば、勢いよく左右に切り返すような場合です。
左にバンクしているところではステアリングは左に切れています。
切り返すのにやや左に切り増しながら車体を起こし、右にバンクさせると同時にバンクに応じた舵角を右に与えます。そのときに、狙った舵角にピシッと決まって欲しいところです。従来はこのときにどれくらい切れているのかの感覚が曖昧でしたが、この感覚がクリアになります。
まあ、タイヤについている舵角とステアリング切れ角度の整合性が増したと言えばいいのでしょうか・・・
ステアリングの切れ具合とタイヤの向きが一致するというか、その感覚が分かりやすいというか・・・
まあ、剛性が増したので一体感が出たということなのでしょうね。

あと、回り込んだ低速コーナーで、クリップ付近までブレーキを残しながら旋回するような場合です。
こういうシチュエーションって、緊張しますよね。
フロントタイヤからステアリングに伝わってくる感覚が唯一の頼りです。
私は乗ることに関してはヘタクソな部類ですので、こういったときには相当にビビリながら走っています。
でも、以前に比較して安心感は段違いです。
フロント周りのしっかり感が安心感につながります。

でも問題は、余計に行けるようになったらそこまでは行ってしまいますので、多少速く走れるようになったことは事実なれど、ペースが上がった分だけやっぱり緊張することに変わりはないということですかねぇ・・・
このあたりがタイムが全てのレースユースと快感度が重要なストリートマシンにそれぞれ求められるものの差なんでしょうかねぇ・・・
難しいところです。

フロント周りの剛性感が格段に向上したことで、それまでとはワンランク速いペースで走れるようになることは事実ですし、同じペースで走った場合の安心感や安定感は格段に上です。
途中、フロントフォークのイニシャルを2mmばかり余計にかけてみましたが、進入時の踏ん張り感がさらに増しました。
でも、そのかわりにゆっくり流して走っている時にはゴツゴツ感というか、アタリがきつい感じが出てしまいます。
まあ、前後サスのイニシャルをやや緩めてリアの車高を少し下げる程度でゴツゴツ感はだいぶ緩和されるんですけれどね・・・

今回のフロント周りの剛性向上計画、結論から言えば大満足の大正解でした。
ガンガン走るときとゆっくり流して走るときの、それぞれの気持ちいいセッティングは明らかに異なりますが、剛性を向上させたことでガンガン走るときの限界許容量は確実に向上し、ゆっくり流して走るときにも簡単なセッティング変更で対応できるのですから、基本性能を向上させたことでセッティングの許容幅が広がったということなるんでしょうね。
当初の思惑どおりの効果があったということになります。


ところで今回、私が明らかにしてみたかったことがもうひとつあります。
巷には、剛性向上をはじめとする機能向上を謳った部品があふれていますね。
中には、謳った機能すら疑わしいものすら存在します。
先日の日記に書いたホイール比較などもそうです。
まあ、そういったものについてドレスアップという意味での存在価値を否定するつもりはありませんが、少なくとも剛性向上、機能向上を謳っている以上はその部分でのマヤカシは許されないですよね。

このようなものは論外として、私はもう一歩進んで、剛性向上を謳っている部品が部品単体としての剛性向上を達成していさえすれば商品としてそれでいいのかという疑問を抱きます。
剛性向上という事実が、果たしてそのバイク、そのユーザーにとって本当にメリットがあるものなのか、コストパフォーマンス的にも妥当なものなのかについてきちんと説明責任を果たした上で妥当な売り方をしているのかということについて疑問を抱くのです。

「こういったシチュエーションでこういった使い方をした場合にこういったメリットがありますが、こういった使用状況では、実質的な効果はほとんど感じられません。
また、具体的にこんなデメリットもあります。
それらを踏まえた上、ご自身の使用状況を勘案して納得の上で購入ください。」
といった売り方が本来あるべき姿ではないかと思うのです。

ただ単に、
「これを装着すればノーマルと比較して50パーセントの剛性アップして車両の安定性が高まります。」
などといった売り方は、うそつきとまでは言いませんが、説明責任を果たした誠意ある売り方とは思えません。

例えば、近年の医療の世界では、患者に対して説明責任を果たし、きちんとした情報提供を前提とした上で患者に適切な選択権を付与し、その納得を得た上で治療するべきであるとの世論が高まりつつあります。
他のサービス業についても同様のことが求められつつあるのが世の流れです。
こういったことに対してバイク業界も真剣に取り組んでいかないと、いずれは意識あるユーザーはバイクに嫌気がさしてしまうことになりかねないと危惧します。

かつて、とても景気の良い時代がありました。
当時、ドゥカティなどで走るツインレースが流行っていました。
私の知り合いがやっていた専門ショップにもドゥカティでレースをしているお客さんがたくさんいて賑わっていました。
流行に乗ってドゥカティを購入してレースを始めるというお客さん、サーキット走行は初めてです。
新車のマシンを数百万円で購入し、ホイール、サス、マフラー、カウルにスペシャルカラー・・・
ツナギもヘルメットもトランポまで新調です。

練習走行で転倒します。
また完全に修理して走り、また転倒・・・
初めてサーキットを走る人に、もっと違うアドバイスができないものなのかなぁって思ったものです。
いつしかブームは去り、そしてこの人達も去りました。
現在はショップも既にありません。


まあ、ちょっとうっとおしい話になってしまいましたが、バイク業界について私が日頃から感じていることですので・・・


次回は、今回は中途半端になってしまったスタッドボルトをきちんと処理して4本ともクロモリボルトに交換してから再評価します。
あの伸びきったノーマルスタッドを見てしまうと、もっと良くなるはずって期待してしまいます。


追記

左右合計4本のスタッドボルトをクロモリ高張力ボルトに交換しました。
フロントタイヤから入力された各方向からの応力はアクスルシャフトに入力され、このクランプをアウターチューブから引き離そうとする方向やひねろうとする方向にかかります。
すると、このクランプを押さえているボルトには引っ張り方向の力がかかることがイメージできるでしょうか・・・
ノーマルのスタッドは、この力に負けて伸びていたのです。
いわば、こういった部分のボルトには純粋に引っ張り強度が問われるので、高張力ボルトに交換するのが効果的ということです。


複数の部品が組み合わされてユニットとして機能するべき部分を強化しようとした場合、それぞれ単体としての強化を考えると同時に、それらをユニットとしていかにアッセンブルするかを考えないと、ユニットとしての機能向上は望むべくもないという当然といえば当然のことなんですがね・・・


再度試走しました。
結果はいわずもがなですが、さらにフロント周りのしっかり感が増しました。
フロントタイヤに付いた舵角とステアリングの切れ角の整合性がさらに増し、わかりやすく、そして安心感のあるフロント周りになりました。
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ファクトリーまめしばの営業について、特段に定休日や営業時間を設けておりませんが、一人で切り盛りしておりますので、おいでになる際には、あらかじめのご連絡をいただければと思います。

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