2009.06/13 [Sat]
バルブステムシール
距離を重ねたエンジンに起こりがちなトラブルとしてオイル下がりがありますが、その原因のほとんどはバルブステムシールの劣化であると言われています。
色々と資料を調べてみると、4ストロークエンジンにバルブステムシールが装着されるようになったのは昭和40年ころからのようです。
それまでは、バルブガイド上端をテーパー状にしたりしてガイドとバルブステム間に入り込むオイル量をコントロールしていたようですね。
また、この手法は一部の外国車ではわりと最近まで取られていました。
モトグッツィのエンジンもルマン1000あたりまではステムシールがなく、ガイド先端のテーパー加工で対処していましたね。BMWのR100なども同様だったのではないかと記憶しています。
色々と資料を調べてみると、4ストロークエンジンにバルブステムシールが装着されるようになったのは昭和40年ころからのようです。
それまでは、バルブガイド上端をテーパー状にしたりしてガイドとバルブステム間に入り込むオイル量をコントロールしていたようですね。
また、この手法は一部の外国車ではわりと最近まで取られていました。
モトグッツィのエンジンもルマン1000あたりまではステムシールがなく、ガイド先端のテーパー加工で対処していましたね。BMWのR100なども同様だったのではないかと記憶しています。
ところで、バルブはバルブガイドの中を上下にスライドしています。
ガソリンの気化潜熱によって冷却されるインテークバルブはまだいいものの、高温の排気ガスに直接さらされるエキゾーストバルブは熱的にはとても厳しい条件下に置かれています。
高出力ターボエンジンなどではステムにナトリウムを封入したり、通常のエンジンでも特殊な耐熱鋼を使用するのが普通です。
そして、バルブが受けた熱のほとんどはステムからバルブガイドを介してシリンダーヘッドに放熱されますので、バルブガイドには高い潤滑性能と放熱性が求められます。
そこで巷では、ガイドをリン青銅やベリリウム銅などで製作するチューニングが行われていたりしますが、こういった材質的な対策が必要になるほど使用条件としては厳しいところだということです。
また、組み付けの際にも、ステムとガイド間にはモリブデングリスの塗布が指定されていたりもしますね。最低でもオイルの塗布は必須です。
ガソリンの気化潜熱によって冷却されるインテークバルブはまだいいものの、高温の排気ガスに直接さらされるエキゾーストバルブは熱的にはとても厳しい条件下に置かれています。
高出力ターボエンジンなどではステムにナトリウムを封入したり、通常のエンジンでも特殊な耐熱鋼を使用するのが普通です。
そして、バルブが受けた熱のほとんどはステムからバルブガイドを介してシリンダーヘッドに放熱されますので、バルブガイドには高い潤滑性能と放熱性が求められます。
そこで巷では、ガイドをリン青銅やベリリウム銅などで製作するチューニングが行われていたりしますが、こういった材質的な対策が必要になるほど使用条件としては厳しいところだということです。
また、組み付けの際にも、ステムとガイド間にはモリブデングリスの塗布が指定されていたりもしますね。最低でもオイルの塗布は必須です。
この、ステムとガイドというのは絶対に焼きついてはいけないところです。
いや、焼きつきどころか、2ストロークエンジンでよく聞かれる、軽い抱きつき程度であっても重大なエンジンブローを引き起こす結果になりかねないのです。
バルブがリフトしたところで一瞬でも抱きつきが発生すればバルブの戻りが遅れて、そこに上がってきたピストンと衝突・・・・・・あとは想像もしたくありませんね。
複数あるバルブの1本にでもこんなことが起きれば即ブローです。
いや、焼きつきどころか、2ストロークエンジンでよく聞かれる、軽い抱きつき程度であっても重大なエンジンブローを引き起こす結果になりかねないのです。
バルブがリフトしたところで一瞬でも抱きつきが発生すればバルブの戻りが遅れて、そこに上がってきたピストンと衝突・・・・・・あとは想像もしたくありませんね。
複数あるバルブの1本にでもこんなことが起きれば即ブローです。
ですので、このステムとガイド間は確実に潤滑したいところですので、十分にオイルを供給してやりたいと考えますが・・・・・オイル下がりも問題ですね・・・・
そう、とても難しいところなのです。
絶対に焼きつかせたくはないけれど、潤滑に必要なオイルは極々最小限にしたいということです。
絶対に焼きつかせたくはないけれど、潤滑に必要なオイルは極々最小限にしたいということです。
かつて、バルブステムシールがなかったころのエンジンは、どちらかといえば、多少のオイル下がりには目をつぶって、両者を焼きつかせないことを優先していました。
そう、マフラーから白煙を上げようが、500kmに一度程度のオイル補給が必要になろうが、ブローするよりははるかにマシですからね。
昔のエンジンでは、燃焼室内に侵入したオイルのせいでしょっちゅうプラグがダメになりましたので、真鍮のブラシで磨くことは通常のメンテナンスでしたし、整備工場にはプラグ専用の小さなサンドブラスターがあったりしました(古い話です・・・)が、それもこういったことが原因だったのですね。
そう、マフラーから白煙を上げようが、500kmに一度程度のオイル補給が必要になろうが、ブローするよりははるかにマシですからね。
昔のエンジンでは、燃焼室内に侵入したオイルのせいでしょっちゅうプラグがダメになりましたので、真鍮のブラシで磨くことは通常のメンテナンスでしたし、整備工場にはプラグ専用の小さなサンドブラスターがあったりしました(古い話です・・・)が、それもこういったことが原因だったのですね。
そこで大切な働きどころか、主役を担っているのがバルブステムシールです。
こんな部品ですね。スズキ純正のGS系エンジン用のこいつは1個460円です。
たぶん、いくつかのショップなどで宣伝している「カワサキZ用強化バルブステムシール」の正体はこれです。
もしかすると、ステム径が同じであるゼファー1100あたりの純正も同じかな・・・?
こんな部品ですね。スズキ純正のGS系エンジン用のこいつは1個460円です。
たぶん、いくつかのショップなどで宣伝している「カワサキZ用強化バルブステムシール」の正体はこれです。
もしかすると、ステム径が同じであるゼファー1100あたりの純正も同じかな・・・?
エンジンに限らず、工業機械には多数のオイルシールが使用されていますが、通常、これに求められるのは、いかにきっちりとシールするか、つまり漏らさないかということです。
しかし、バルブステムシールにおいては、いかに適切に漏らしつつコントロールし、かつ常温から200度あたりまでという幅広い温度条件下において長期間これを維持するということが求められるのですね。この画像にあるリップ形状には、そのための秘密が隠されているということです。
これは、非常に高度なテクノロジーなのだそうです。
いや、テクノロジーというよりは、設計生産のノウハウといった方が正確でしょうか・・・
バルブステムシール、ほとんど話題になることもない地味な部品ですが、実はとんでもない大仕事をこなしているエライやつなのですね。
このような部品ですから、出所正体不明の社外品なんて絶対に使いたくないものです。
しかし、バルブステムシールにおいては、いかに適切に漏らしつつコントロールし、かつ常温から200度あたりまでという幅広い温度条件下において長期間これを維持するということが求められるのですね。この画像にあるリップ形状には、そのための秘密が隠されているということです。
これは、非常に高度なテクノロジーなのだそうです。
いや、テクノロジーというよりは、設計生産のノウハウといった方が正確でしょうか・・・
バルブステムシール、ほとんど話題になることもない地味な部品ですが、実はとんでもない大仕事をこなしているエライやつなのですね。
このような部品ですから、出所正体不明の社外品なんて絶対に使いたくないものです。
この部品、バルブをガイドから抜いたら必ず新品に交換するというのがセオリーです。
ステムのコッター溝やステムエンドのバリなどでリップが傷つく可能性があるからということと思いますが、安い部品ですので安心のためにも守りたいものです。
これひとつ交換するためにシリンダーヘッドを取り外すなどというハメはゴメンですからね。あー、ヘッド装着のまま交換する方法がないわけではありませんが・・・・
ということは、新品装着時にバルブをガイドに差し込む際にも細心の注意が必要であるのは言うまでもないことです。
ステムのコッター溝やステムエンドのバリなどでリップが傷つく可能性があるからということと思いますが、安い部品ですので安心のためにも守りたいものです。
これひとつ交換するためにシリンダーヘッドを取り外すなどというハメはゴメンですからね。あー、ヘッド装着のまま交換する方法がないわけではありませんが・・・・
ということは、新品装着時にバルブをガイドに差し込む際にも細心の注意が必要であるのは言うまでもないことです。
今年の冬にはエンジンを開ける予定ですが、こういったひとつひとつの部品について様々な思いを至らせながら分解組み立てをするのも楽しいものです。
ところで余談ですが、かつて、バルブステムとガイドの潤滑でちょっと疑問を持ったことがあります。
インテークバルブについては常に吸入負圧がかかっていますので、これによってステムとガイド間にオイルが吸い込まれて行きますが、エキゾーストバルブはどうなのか・・・・
排気ガスは高圧ですので、オイルがステムとガイド間に入ってくれないのではないか・・・
たしかに両者のクリアランス設定はエキゾースト側の方が広くされているのが普通ですが、それにしても大した差ではないのに・・・・
当時の私にとっては大きな疑問であり、何人かのプロに質問してもみましたが、明確な回答はありませんでした。
皆、そんなことまで考えを至らせることもなかったようです。
インテークバルブについては常に吸入負圧がかかっていますので、これによってステムとガイド間にオイルが吸い込まれて行きますが、エキゾーストバルブはどうなのか・・・・
排気ガスは高圧ですので、オイルがステムとガイド間に入ってくれないのではないか・・・
たしかに両者のクリアランス設定はエキゾースト側の方が広くされているのが普通ですが、それにしても大した差ではないのに・・・・
当時の私にとっては大きな疑問であり、何人かのプロに質問してもみましたが、明確な回答はありませんでした。
皆、そんなことまで考えを至らせることもなかったようです。
答えはかんたんです。
エキゾーストバルブが開いた瞬間から直後のエキゾーストポート内は高圧ですが、排気上死点を越えた後、若しくは排気行程終盤にインテークバルブが開き始めた瞬間からエキゾーストバルブが閉じられるまでの間(バルブオーバーラップ期間)は大きな負圧状態になっているのですね。
このときにオイルを吸うことによって潤滑されているということです。
ヤマハのモトGPマシン、YZR-M1はこの負圧を利用してクランクケース内を減圧しているくらいですから、ここには相当な大きさの負圧が発生するということです。
エキゾーストバルブが開いた瞬間から直後のエキゾーストポート内は高圧ですが、排気上死点を越えた後、若しくは排気行程終盤にインテークバルブが開き始めた瞬間からエキゾーストバルブが閉じられるまでの間(バルブオーバーラップ期間)は大きな負圧状態になっているのですね。
このときにオイルを吸うことによって潤滑されているということです。
ヤマハのモトGPマシン、YZR-M1はこの負圧を利用してクランクケース内を減圧しているくらいですから、ここには相当な大きさの負圧が発生するということです。
4ストロークエンジンのシリンダーヘッド周りを設計するにはこういったことも考慮しなくてはならないのですね。
まだまだ知らないことがたくさんあります。
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Re: 白煙
> こんにちはz1に乗っています。
> 走行中アクセル戻して、開けたときに一瞬白煙が、出ます。ステムシール交換したほうが良いでしょうか?