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Z1000LTDの初期化&ライトチューニング その15~シリンダースリーブの状態


さて、いよいよシリンダーを引っこ抜いてみましょう。
一般的に懸念されるのは、長期保管によるスリーブ内の錆腐食や走行を重ねたことによる摩耗なのですが、いかなるものでしょうか。
特段の固着もなく、すんなりと抜くことができました。

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ピストンの状態ですが、トップのカーボン付着はさておき、相当に摩耗している様子が伺えます。
しかし、デトネーションの痕跡や異常な傷などは見当たりません。
距離を重ねたことによって正常に摩耗が進み、限度を超えつつある状態ということです。
機械ですので、走れば減るのは当然のことですが、それが正常な摩耗であれば、全く問題はありません。オーバーホールすれば良いのです。

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ピストンリングも同様です。トップリング、セカンドリングのいずれも摩耗が進み、いわゆる「ベタあたり」の状態になっていますが、サイドクリアランスは正常で、スルスルと周方向にはスムーズに回転し、リングスティックなどは起こしていません。
これも正常な摩耗です。

PA172277.jpg






スリーブ内壁も同様です。
クロスハッチは完全になくなり、ほぼ鏡面状態になっていますし、リングが当たらないスカートとの境目には、指先で触ってわかるほどの段差が生じています。
また、内壁に錆腐食の痕跡もありませんでした。
これまた正常な摩耗です。

PA072168.jpg








通常、このような場合には、0.5mmほどのオーバーサイズピストンを使ってボーリングすれば良いというのが一般的かつ常識的な判断なのですが・・・
そのためにメーカーも補修用に純正オーバーサイズピストンを用意しているのです。

しかし、以前にこのような記事を書きました。あえて確信犯的にインパクトのある表現に心掛けましたので、この2本を含む一連の記事については、喧々諤々、様々な反響やご意見をいただきましたが、私の考えは、ビタ一文も変わりありません。


Zシリンダー、100%ダメなのが現実です


Zシリンダー、スリーブ緩みという問題







早速、SOHCエンジニアリングに持ち込んで、スリーブを抜いてみましょう。
渡辺さんは、
「がははっ、抜く前からわかり切ってるんだけどね。」
なんて言いながら、愛用のガスコンロにシリンダーを載せて火あぶりにかけます。

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あまりにもあっさりと抜けてしまう様子を、ぜひ動画にてご覧ください。
ちなみに、冷間時では、スリーブ下端をハンマーで叩いても動くことはありませんでしたので、一般的には、緩んでいない上物シリンダーということになります。







ちなみに、この時のシリンダー温度は120度前後なのですが、それがどういうことを意味するのかを考えてみましょう。

常温では叩いても抜けないスリーブですが、120度ほどまで加熱することによって、外側のアルミ製シリンダーが膨張し、比較して膨張率が低い鋳鉄製スリーブとの熱膨張差によって、このようにスルリと抜けてしまいます。
では、空冷エンジンにおける運転中シリンダー温度はどれくらいかと言えば、およそ200度前後というのが通常です。
ということは、常温ではがっちりと圧入されているシリンダーも、運転中には、実はユルユルガバガバ状態で、固定などされていないということになります。
「ええっ、そんなものでいいのか」と言われるかも知れませんが、これが現実、残念ながら、ノーマルシリンダーとはその程度の造りのものだということです。またこれは、程度差こそあれど、空冷Zに限らず、スリーブ圧入式シリンダーを採用するほぼ全てのエンジンにおいて共通のことなのです。

ユルユルガバガバである証左がこれです。
冷間時に緩んでいなかったシリンダーでも、抜いてみればこのとおり、シリンダー内壁とスリーブ外壁の間には、エンジンオイルが多量に侵入しています。
運転状態において緩んでいるのですから、これは緩み以外のなにものでもありません。

PA082193.jpg







シリンダー内壁も同様にオイルまみれですし、スリーブが動いて叩かれた痕跡が明瞭に残っています。
これは振動の原因のひとつです。叩かれて動いているのですから振動が出るのは当然のこと・・・

PA082196.jpg







量産シリンダーは、冷間圧入式で製造されることがほとんどです。
スリーブ外径よりもシリンダー内壁をわずかに小さく仕上げて、そこにプレスを使って圧力をかけることで圧入するのですが、その時に、シリンダーだけ温め、熱膨張差による温間圧入という方法は採られることがありません。そう、コストがかかるからです。
冷間圧入では、そう大きな圧入公差を取ることはできません。圧入時にシリンダーが割れてしまうからです。

渡辺さんの集積したデータによれば、カワサキZの圧入公差は100分の1~100分の2mm程度、スズキの場合はもうちょっと大きく取られていて、100分の3~100分の4mm程度とのことです。これによって、GS/GSXエンジンの方が、Zエンジンよりも多少はマシというのは事実なのですが。渡辺さんによれば、「まあ、多少はマシという程度で大差ない」ということです。

メーカー純正のシリンダーは、そもそもこういうレベルで設定されているのです。
メーカーがそうしているのだから、それで問題はないと考える人はそれでいいでしょう。
しかし、本来、内燃機関のシリンダーとしてあるべき姿はどうかという観点からすれば、これは全くのNGです。
メーカーだってわかっているのです。だからこそ、その後にはアルミ製の一体式メッキシリンダーやアルミシリンダー内に鋳鉄スリーブを一体鋳込みにしたりするようになったのです。
量産品は、コストや量産性などの縛りの中で成立するものですから、古き時代のエンジンは、この部分において妥協せざるを得なかったというだけのことです。

大きな燃焼圧力を受けて高速で運動するピストンを支えるスリーブは、十分な剛性を持って微動だにせず、かつ、受けた熱を効率良くシリンダーに伝導していち早く放熱することで冷却性を確保するという、まさにエンジンの根幹とも言うべき重要部分ですから、ここにこそ、大きなコストをかけてやるべきです。
ピストンに何を使うのかとか、カムがどうのとかポート加工が・・・そんなことよりも、シリンダー&スリーブをより良い状態にすることこそ、エンジンチューニング及びオーバーホールにおける最優先課題なのです。

たとえば、このようにシリンダーが摩耗してしまった場合、純正オーバーサイズピストンを使うのも良いでしょう。しかし、スリーブはより良いものを作って入れ替えるのがベストです。そういう手法や発想は、従来にはあまりなかったのかも知れません。しかし、これまでに行われていなかったというだけに過ぎず、内燃機関としてより良いものにするためにはどうすべきかという観点価値観に立てば、当然のように出てくる選択肢のはずです。
単に修理すれば良いというのであればその限りではないかも知れませんが、より良いものにしようとすればね。

抜き取った4本のスリーブがここにあります。
30年近くも前に生産され、摩耗が限度を迎えたことで役目を終えたのですから、そういう意味では十分なものだったというわけです。
しかし、2015年の現代において、そして、ただ走ればよいという価値観ではなく、高価な趣味の乗り物のより良きエンジンを作るために、このスリーブには引退していただきましょう。

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このようにして、侵入したオイルは、ところどころで焼けてオイルカーボンとなって付着しています。
これらは、スリーブとシリンダーの間における熱伝導を相当に阻害し、高い油温となってあらわれるのです。

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SOHCエンジニアリングの渡辺さんは、高品質なターカロイ鋳鉄製スリーブを製作していますが、その外壁は、まるでバフでもかけたかのように高い面粗度と高い真円度で仕上げられます。
また、シリンダー内壁も、ダイヤモンドビットで仕上げることで、これまた高い面粗度と真円度に仕上げられるのです。
そして、両者の圧入公差は、先の量産シリンダーが100分の1~100分の4mmであるのに対し、はるかに大きな値が取られ、これは、正確に温度管理された上で温間圧入されるのです。それだけの圧入公差を設定するためには、一朝一夕には獲得しえない経験とノウハウが必要になるのは当然のこと・・・その具体的内容について私がここで書くわけにはいきません。

それによって、エンジン運転中の温度である200度近辺においてもしっかりと固定密着し、確かなシリンダー剛性と冷却性を維持します。
それは、驚くほどの低振動と低く維持される油温というアドバンテージとしてユーザーに還元されることとなります。

以下は、実測データです。
冷却性能ひとつとっても、ここまでの差が生じるのですから、これは投資する価値のある有効なチューニングということです。
愛車のエンジンチューニングやオーバーホールを考えるとき、何を優先してどのような選択をするのか、誰に委託するのかを含めて、それらを決めるのは貴方自身です。

※ カワサキZ
  ・ノーマルスリーブ&ワイセコ71mm(comp10.25) 油温120度
  ・SOHCスリーブ&SOHC75mm(comp11.5) 油温80度)
※ スズキGS750
  ・ノーマルスリーブ&純正OS(comp8.7) 油温110度
※ スズキGS1000
  ・ノーマルスリーブ&ワイセコ73mm(comp10.25) 油温120度
  ・SOHCスリーブ&SOHC77mm(comp11.8) 油温90度









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