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アラゴスタサスペンションのテスト その3~サスペンションに対する私の要求


私は、マシンのセッティング状態や性能などに極めて大きく依存するタイプの乗り手なのです。そう、端的に言えば、オートバイという乗り物を乗りこなすという天性的な才能には欠けているということです。
若きころ、私は、どうにかしてオートバイを意のままに操れるようになりたいと考え、当時、すでに国際ライダーとして活躍していた先輩の後を追いながら練習に励んだものですが、先輩が教えてくれる勘所について、頭ではわかっているものの、それを体で再現することはできませんでした。
私は、その先輩を含む数人の天性に恵まれた仲間たちが、私よりもはるかに状態の悪いマシンに乗っているにもかかわらず、私よりもはるかに速くスムーズにマシンを走らせる様子を嫌というほどに見せつけられていました。
彼らは、私のマシンに乗って言いました。
「こんなに走りやすいマシンに乗ってるのに、なんで?」

私はいつしか、彼らを負かすには、マシンの作り込みやセッティングの煮詰めによるしか道はないと考えるようになったのです。まあ、姑息な手段に出たというわけです。
今日に至るまで、私が自分のマシンをセットアップすることに腐心し続けた原点でもあり原動力となったのは、この、コンプレックスとも言うべき悔しさにあります。

そんな私がサスペンションに対する願いを表現するならば、下記のようなものとなります。


ブレーキングから寝かし込みの瞬間にも、わかりやすいストローク感があって接地感が掴みやすく、その後の旋回Gや加速Gをしっかり受け止めて腰砕けになることなく、リアが適度に踏ん張ることでフロントタイヤの面圧を確実にサポートする・・・アンダーが出ない姿勢を安定性とともに維持する。
エキスパートライダーは、巧みなステップワークと荷重コントロールによって、幅広いシチュエーションでそのような状態を作ることができるけれど、私のような平均的才能しか持たないライダーにはなかなか難しいことです。
あるコーナーではとても気持ち良く安心して速く走れるのに、別のコーナーでは、どういうわけか不安感が先だってしまって巧く走れない・・・
そこを何とかしたいと考えて、様々な試行錯誤を重ねていると、人間はビタ一文も進化していないにもかかわらず、そして乗り方も全く同じであるにもかかわらず、セッティングが煮詰まっていくと、今までどうしても気持ち良く走れなかったコーナーが、俄然気持ち良いものになったりすることがあるということに気づくのです。

つまり、ライダーが積極的に荷重コントロールをせずとも、常に適正な姿勢とトラクションを維持できるような、そういうサスが欲しい・・・


視点をググッと絞ってみましょう。

オートバイをバンクさせるとき・・・それは、街角の交差点を右左折するでもいいですし、峠道のコーナーを走るときでもいい、サーキットのコーナーを疾走するでもいい、それらは、単に速度域が異なるだけのことであって、その時に求められる基本的要素にさほどの違いはありません。

最も重要なことは、ライダーに確実な接地感が伝わることです。
簡単に言えば、体をマシンに預け切ったとしても、タイヤは絶対にスリップすることなく、確実に路面を捉えてくれるに違いないという感覚です。
この感覚さえあれば、疑うことなく思い切ってマシンをバンクさせることができますので、つまるところは、怖くなくて気持ちいいのです。
ワインディングを仲間よりも速い速度でコーナリングしたいとか、サーキットでラップタイムを詰めたいと考えたときは、そこからの旋回性を如何に高めるかという要素も重要になってきますが、それでさえも、確実な接地感やグリップ感があってこそのことです。
ましてや、絶対的な速さよりも気持ち良さや安定性が優先されるべき公道上では、たとえ旋回性や運動性を多少は犠牲にすることがあったとしても、何があってもスリップして足元がすくわれることがないだろうという安心感が優先されるべきなのです。

オートバイはバンクさせてコーナリングすることを楽しむ乗り物です。
そこそこに乗れるライダーなら誰でも知っていることですが、コーナーでバンクさせたとき、マシンに体を預け、タイヤがしっかりとグリップしながら旋回Gが高まるのを全身で感じる爽快感、それは、フルバンクさせなくても、無理をして速度を上げたコーナリングなどしなくても、それぞれの速度域で感じることができるものです。
しかし、オートバイに乗っているにもかかわらず、それも、ある程度の年数を経験しているにもかかわらず、その醍醐味を知らないライダーが相当数いることも事実です。
それを妨げているものは、乗り手が抱く、「タイヤがスリップして足元をすくわれるかもしれない・・・」という漠然とした不安感です。バンクさせるとき、なんとなくフロントタイヤがスリップしたり切れ込んだりしそうな不安感に捉われて、ハンドルバーを無意識に握りしめてしまったり、リアタイヤがツルッと滑りそうで、シートに体重を預けられなかったり、そういう操作は良くないと頭ではわかっていながらも、漠然と感じてしまう不安感を拭うことができずについついそうなってしまう。
つまり、接地感やグリップ感を感じられないことが原因ということ・・・

では、この接地感やグリップ感の本質は何なのでしょうか。

良く、ハイグリップタイヤの柔らかいコンパウンドによって張り付くような旋回グリップが得られるなどと言われますが、タイヤの持つグリップ力が本質なのでしょうか。

ちょっとわかった人は、
いやいや、タイヤは路面に押し付けられることで初めてグリップするから、如何にしてタイヤにトラクションをかけるかが大事なんだ。どんなハイグリップタイヤだって、きちんとしたトラクションがかからなければ、グリップなんてしないのさ。細いタイヤの方がグリップ感が得やすいのは、単位面積あたりの面圧が高くて、タイヤトレッドをより強く路面に押し付けやすいからだ。
などと言ったりします。

では、その「タイヤを路面に押し付ける力」を生むものは何なのでしょうか。

オートバイは、ライダーを含めて200kg以上の重量を持ちますので、この重さで押し付けられるのでしょうか。
旋回中にはコーナリングGがかかりますので、この力によるのでしょうか。

いやいや、間違いではありませんが、それが本質ではありません。

タイヤを路面に押し付けているのは、スプリングの反力です。
200kg以上の重量が荷重としてスプリングにかかることでスプリングは縮み、その反発力(伸びようとする力)によってタイヤは路面に押し付けられます。
コーナリングGが生む荷重によってスプリングは縮み、その反発力(伸びようとする力)によってタイヤは路面に押し付けられます。

伸び切ったスプリング、縮んでいないスプリングは、どんなに高性能なスプリングであっても、ビタ一文も反発力を生みませんので、タイヤを路面に押し付けてはくれません。

高荷重設定のSSマシンなどが、交差点を右左折する程度やつづら折れのタイトワインディングでは接地感やグリップ感に乏しく、なんとなく足元をすくわれそうな不安感に包まれるのに対して、ストロークが長くて柔らかい足回りを持つオフロードマシンなどでは、こういう低速タイトなシチュエーションでは大きな接地感が得られるのはそういう理由です。わずかな荷重でもサスが大きくストロークし、それによってスプリングが十分な反発力を生じてタイヤを路面に押し付けるのです。
そして、SSマシンなどが、高速道路などでの大きなRコーナーを高速で旋回するときには、絶大なグリップ感とともに旋回するのは、大きな荷重によってスプリングが縮んで十分な反発力を生み、タイヤを路面に押し付けるからなのです。

全く性格や設定の異なるSSマシンとオフロードマシンですが、タイヤの接地感とグリップ感を得る基本的なロジックについて、何の違いもありません。

つまるところ、如何にサスペンションをストロークさせるかに尽きる・・・まずはこれが全ての前提要件です。
エキスパートライダーは、巧みなステップワークや荷重コントロール、そしてブレーキングテクニックと天性のバランス感覚によって、幅広いシチュエーションでサスペンションをストロークさせることができるということなのです。

では、思いっきりレートの低い柔らかいスプリングを使えばいいのか・・・
それでは、極低速域だけならいざしらず、ちょっと車速が上がれば容易に底付きしてしまって安定性や旋回性を失ってしまいますので、それぞれのマシンが受け止めるべき荷重、つまり速度レンジに応じたスプリングは必要ということになります。

スプリングは、マシンの姿勢を維持するという重要な役割も持っています。
スロットルを大きく開けて加速しようとすれば、リアサスペンションは大きな加速Gを受け止めるべく踏ん張らなくてはなりませんので、エンジンの出力が大きくなればなるほど、それに耐えるべくレートの高いスプリングが必要になります。
また、高い旋回速度と旋回性を得ようとすれば、その大きな旋回Gを受け止めるべく高いレートのスプリングが必要になります。
しかし、これらのハイパワーマシンや高旋回性能を与えられたマシンであっても、街中の交差点を右左折する必要はありますし、つづら折れの荒れたワインディングを走るシチュエーションもあるのですから、つまるところ、低荷重域と高荷重域のバランス点をどのように見出すのか、換言すれば、高荷重をしっかり受け止めつつ、わずかな荷重にもサスペンションがストロークし、タイヤを路面に押し付けて接地感やグリップ感が得られるようにするのかということのなるのです。

そこで、リンクを使ったモノショックであれば、ストローク量が増えるに従ってリンクレバー比を立ち上げるなどの方法によって、低荷重域と高荷重域まで幅広く対応させることができるところですが、そういった可変リンクを持たない2本サスの場合には、サスペンション自体の設定によって、そういう特性を得なくてはならないのです。
当然のように、そこには一定の限界というものはありますが、それであっても、その限界点を高める工夫や努力を惜しむわけにはいきません。


私は、これまでにも様々なサスペンションを愛車に装着して様々なセッティングを試みてみましたが、オーリンズ、ホワイトパワー、クアンタム、ナイトロンなどの高性能を謳った製品は、それぞれにおいて見るべきパフォーマンスを発揮してくれた反面、それぞれの特色とともに、ポジとネガを持っていたのも事実です。また、それぞれに幅広い設定や多数のオプションスプリングなども用意されていますので、たとえば、ハイスピード高荷重域にピントを合わせたり、低中速域でのコンフォート性に振ったりすることも可能なのですが、その両立バランス点を如何に高く取るかに腐心してきたのです。
そしてそこにおいて、それぞれの得意な方向性傾向というものがあるのも事実ですし、それはそれぞれの特色でもあったりします。
たとえば、クアンタムはコンフォート方向に振った時には絶妙の作動性としなやかさを発揮する反面、高荷重域に振ろうとすると悩まされるとか、ナイトロンは高荷重域に振ると剛性感あふれる旋回性を発揮する反面、コンフォートに振ろうとすると、どうにも巧く機能させられないとか・・・これらは、いいとか悪いとか、そういうことではなく、それぞれの得意な方向性ということですので、好みによって選択すべきことでもあるのですが、許容幅が少ないというのも事実です。

さて、今回のアラゴスタはどのような特色を持つのでしょうか。
既存のものよりも、低荷重域から高荷重域までワイドレンジな特性を発揮してくれるものなのか、街中の交差点や荒れた低中速コーナーから高速コーナーまで、幅広く満足できるものなのか・・・

現在、スプリングやダンパー設定などを色々と変更しながら、様々なシチュエーションを走ってフィーリングや特性を確認しています。
いきなり答を見つけるというスタンスではなく、セッティング変更によってどのような変化を見せるのか、つまり、このサスペンションの特性を把握するために走っています。
時には、有り得ないような極端なセッティングも試みていますが、これも使える幅を把握するための重要な作業なのです。

西湘バイパスにて高速安定性を確認し、その後、箱根山中に入って中高速コーナーでのパフォーマンスを試してみたり・・・

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裏山に行って、あちらこちらに大きなギャップのある低中速コーナーを走ってみたり・・・もちろんですが、あえてギャップに乗ってみたりもします。

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こんなデコボコの減速帯がある下り中速コーナーに飛び込んでみたりもします。
もちろんですが、走行速度も色々と変化させて走ってみたりもします。
私個人の走り方ではなく、様々なスキルのライダーに幅広くガイダンスするためには、そういうことも必要だからです。

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ひととおり走ったあとはファクトリーに戻ってスプリング交換などをして、その前の感覚が体に残っているうちに、また同じコースを同じように走ってみたりもするのです。

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んで、どうなのよ?
なんて声が聞こえてきそうですが、またそれは改めて・・・
ただ、ここまで試行錯誤を重ねて走り込んでいること自体で想像してください。
可能性を感じていなければ、ここまで時間と手間暇をかけて試すわけないでしょ。



アラゴスタについては、シリーズ記事とすることにしましたので、こちらにまとめてあります。
アラゴスタサスペンション




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