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カワサキZ用オリジナルSP-2フルパワーキットの開発 その2~遠心ガバナーによる機械式進角装置


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よって、お入用の方は、ファクトリーまめしばまでお問い合わせください。





1980年代の後半あたりから、市販量産車の進角制御はマイコンによるデジタル進角制御へと進化しました。
それまでの遠心ガバナーによる機械式進角装置と比較して、これは革命と言ってもいいほどの進化だった・・・なにせ、遠心力などというアナタ任せのアバウトかつオンオフスイッチみたいなものから、設計者が任意の値を入力するだけで、完全に自由な値を設定することができるようになったのですから・・・

しかし、いくら自由な設定ができるハード環境ができたからといっても、問題は、そこにどういう値を入力するかにあります。
機械式進角装置による進角曲線と同じようなカーブをプログラムしたとすれば、制御がデジタルになっただけのことであって、進角特性自体、つまりエンジン特性は基本的に変わらないのです。

何事にも共通しますが、自由な環境を与えられたとき、それをどのように生かすのか、そこにこそ真価が問われます。場合によっては、なまじっか自由になったばかりに、どうしたらよいのかわからなくなって迷走が始まるなどというのも人の常だったりします。


さて、本題に入りましょう。

まずは、1980年代中盤ころまでのほとんどのエンジンにおいて使われていた、遠心ガバナーによる機械式進角装置がどういうものだったのかを見てみることにします。
これは、二輪車に限らず、四輪車も含めて、ほとんど全てのガソリンエンジンに共通のことです。ただ、四輪車の場合には、もうちょっと早い時期にデジタル進角になりましたが・・・

これは、GS750のピックアップ部、場所は、右側クランクエンドです。
本来、GS750はポイント接点式ですが、このマシンでは、後年のGSX750E用のフルトランジスタ式に変更されています。
ここで取り上げているのは進角制御装置についてであり、信号取り出しがトランジスタスイッチングによる無接点式かどうかは無関係ですので、今回のテーマにおいては無視してかまいません。
赤矢印で示した突起部分がピックアップを通過した瞬間に点火信号が生じ、これが点火タイミングとなります。

P1080898.jpg






ピックアップが装着されているシグナルジェネレータ、ポイント式であれば、ポイントが装着されているポイントベースプレートを取り外すと、その内側に遠心ガバナーによる機械式進角装置があります。

P1080899.jpg






エンジンの回転が上昇すると、その遠心力でガバナーウェイトが開き、それと連動したカム式ガバナーが回転し、突起部分が進角方向に移動します。
つまり、これによって点火時期が進むということです。
ガバナーウェイトは小さなスプリングによってテンションがかかっていますが、このスプリングのレートを変更することによって、ガバナーウェイトが開くタイミング、つまり、進角が始まる回転数を変化させることができます。かつてはそうやってセッティング変更していましたね。また、そのためのスプリングがチューニングパーツとして存在していました。

P1080900.jpg






遠心ガバナー単体にしてみましょう。
これは、アイドリング時、つまり遠心ガバナーのウェイトが開いていない状態です。
GS750の場合、この状態にて点火時期は、17°BTDC(上死点前17度)です。

P1080962.jpg






これは、エンジン回転の上昇によって遠心ガバナーが開いて進角した状態です。
GS750の場合、進角幅は20度ですので、この状態にて37°BTDC(上死点前37度)です。
進角幅は、赤矢印で示したストッパーによって規制されていますので、最大進角値を大きくしたい場合には、ストッパーの内側を削って、遠心ガバナーのウェイトがより外側に開くように細工すればいいのです。
現に、かつてはそういうチューニングをしていました。

P1080963.jpg







さて、実際にどのように作動するのか、簡単な動画ですが、こちらでご覧ください。
まあ、単純かつ確実な仕掛け・・・










これは、GS750のサービスマニュアルに記載された、点火時期に関する項目です。
点火時期の項目には、1,500rpm時に上死点前17度とあります。これは、クランクシャフト回転位置が上死点前17度のときにポイントが開く、または突起がピックアップ部を通過するという意味、つまり、クランクシャフトと突起の位相角設定が17度ということを示します。
進角装置の項目には、1,500rpm時には0度とありますが、これは、進角幅が0度ということですので、この時点での点火時期は、先の位相角と同じ、上死点前17度ということになります。そして、2,350rpm時には20度進角するとありますので、最大進角時の点火時期値は17度+20度の上死点前37度ということになります。

P1080960.jpg






さて、ここからが肝心です。
この遠心ガバナーによる機械式進角装置によって、実際にはどのような進角カーブになるのかを見てみましょう。
これはだいぶ以前に書いたものですので、「GS1000」とありますが、なあに、GSに限らず、ZでもCBでも、遠心ガバナー進角装置であればどれも同じです。

GS1000ガバナー進角







1,500rpmから2,350rpmにかけて、遠心ガバナーのガバナーウェイトは一気に開いて進角します。上死点前17度から上死点前37度まで、一気にパカッと進角するのです。まあ、17度と37度の2段階切り替えみたいなものです。
また、この1,500rpmから2,350rpmの間、たとえば2,000rpmで回転を維持した場合(街乗りでは良くあるケース)では、遠心ガバナー周辺の整備状態、グリスアップなどの状態によって、また、テンションをかけているスプリングのバラツキなどによって、さらには、クランクシャフトは、特に低回転域ではギクシャクと揺動しながら回転していますので、それらの要素によって、点火時期は相当な幅でフラフラと変動しているのが現実です。
古いマシンは、この領域でラフなフィーリングになりがちですし、それが古いマシンの味わいなどと考えられていたり、古いんだからこんなものなどと認識されているのかも知れませんが、スロットルパーシャル時に点火時期が数度の範囲でふらついてしまえば、ラフなフィーリングになるのは当たり前のことです。
まあ、それを問題視するかどうかは別のことですが・・・
また、遠心ガバナーがスムーズにスライドするかどうかは、基本整備の範疇です。
ここがグリス切れや固着などによってスムーズに動かなかった場合、それは進角制御がきちんと働かないということになります。当然のエンジン不調・・・


ちょっと脱線しましたが・・・

この、遠心ガバナーによる機械式進角装置、1980年代後半にデジタル進角制御が普及するまでの間、長年にわたって熟成されながら使われてきたものですので、基本的には十分なものです。
また、1,500rpm過ぎから一気に最大進角値まで点火時期が進むことによって、低回転域からスロットルを開けたときのフィーリングは、「ズバン」というか、「ゴアッ、ゴリゴリッ」という、粗野ながらも力強く豪快なフィーリングになるものです。

たとえば、GSX1100S刀は、1994年に国内専用モデルとしてリニューアルされて復活しましたが、それ以前に逆輸入によって国内に入っていた輸出専用モデルと比較して、低中回転域での力強さに欠けると評されていました。
その理由は、デジタル進角制御になり、点火時期の立ち上がり曲線が緩くなったから・・・
そこで、カタナ専門ショップなどが、「カタナ本来のフルパワーに戻す」という謳い文句で輸出仕様車用の遠心ガバナー式点火ユニット一式をキット販売したりしていますが、それによって、低回転域から一気に最大進角値まで点火時期が進むようになり、ここでの豪快な加速感が得られるようになる・・・まあ、そのこと自体は事実です。
本質は、デジタル制御の進角装置が劣っているなどということではなく、どういう進角カーブを設定するかによって、エンジンキャラクターは大きく変化するということです。

そこで、下記をご覧ください。
Z用SP-2フルパワーキット、スタンダードバージョンの進角カーブです。
これは、魚谷さんも言っていますが、遠心ガバナーによる機械式進角装置の進角特性を再現したものです。
低回転域から最大進角値まで、終始右肩上がり、それも急激な立ち上がり曲線となっています。これによって、カワサキZ特有の、いや、遠心ガバナーによる機械式進角装置の持つ、ゴリゴリ、ゴワッという豪快な加速フィーリングが得られることとなりますし、それが、Z用スタンダードバージョンが持つべき特性として、魚谷さんが選択して与えたキャラクターということです。
また、デジタル進角制御されていますので、遠心ガバナーのアバウトな開きによる低回転域での点火時期ふらつきも起こらず、スムーズかつ豪快・・・実に素晴らしいZフィーリングになるというわけです。

P1080964.jpg







さて、次回は、この、豪快なトルク立ち上がり感の源となっている、遠心ガバナー式そしてそれに倣ったスタンダードSP-2の進角曲線を、ハイコンプハイチューンドエンジンに使った場合にどうなるのかについて考えてみましょう。





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