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エンジンブローの原因を追究する その1(デトネーションによる棚落ち)


エンジンがブローした・・・そういう話を巷で聞いたりしますが、その原因の本質について追及せずして進歩はありません。

実は、チーム変態おやぢのご意見番であるtsuruさんのZ1Rがエンジンブローに見舞われました。
経過は下記のとおりです。

このエンジンは、昨年の春、カムチェーンテンショナー折損をきっかけとして、フルオーバーホールを兼ねてワイセコ72mmピストンを使ってボアアップしました。
以後の走行距離は約1万kmですので、通常であれば、アタリもついて絶好調という時期のはずだったのです。

予兆らしきものはありました。
慣らしが終わってほどなくしたころから、やけにブローバイが多いのです。
レデューサーを介して大気解放しているブローバイホースからは、常に白煙が出ていましたし、それは、距離を重ねるごとに増加して行きました。
冬季の冷間時に白い水蒸気が出るというものではなく、明らかにブローバイガスが多量に出ているという状態です。
マフラーから白煙が出ているというのであればオイル下がりやオイル上がりですが、ブローバイホースからでしたので、この時点で、相当量の燃焼ガスがピストンとシリンダーの隙間から吹き抜けているのは確実だったのです。
ピストンクリアランスが過大なのか、リングの合口ギャップが過大なのか・・・しかし、適正なボーリング作業がなされていたのであれば、1万km程度でそうなるはずはない・・・するとリング折損の可能性も・・・

とどめは、弾丸ツーリングの帰りに起こりました。
ブローバイホースからの白煙がひときわ多量になった状態がしばらく続いたあと、今度はマフラーから大量の白煙が上がるようになりました。
まだ数百kmを走って帰らなくてはなりませんでしたので、不安を抱えながらもペースを落として走行を続けているうちに、今度はマフラーから多量のオイルが出るようになりました。リアタイヤ周辺がオイルまみれになり、150kmも走行すると、オイルを1.5Lほども消費するほどでしたので、給油のたびにオイル補給をしながら走行を続けました。
パワーダウンは明らかでしたが、なんとか走行を続け・・・
途中、プラグを確認してみたところ、1番のプラグはオイルでべっとり濡れ、オイルスラッジもたっぷり付着している状態でしたので、1番シリンダーに何かが起こったことは間違いないところでした。

それにしても、そんなプラグの状態であったにもかかわらず、4気筒全てが機能していたのですから、それはそれで驚くべきこと・・・実は、マルチスパークアンプが装着されていました。
ちょっと話は横道に逸れますが、あんなにプラグがオイルまみれになっていれば、通常は失火して3気筒になってしまうはずなのですが、マルチスパークアンプの強力な点火能力は、そんな状態のプラグでも火を飛ばしていたのですから、その能力はケタ外れと言っても過言ではありません。

先日、エンジンを分解し、SOHCエンジニアリングの渡辺さんのところに持ち込み、仔細に検証することとしました。
出てきたピストンはこれです。

RIMG7341_20130614142658.jpg






これが問題の1番ですが、トップリングからセカンドリング下までが見事に棚落ちしています。そして、支えを失ったトップリングは折損しています。

RIMG7334_20130614142657.jpg






場所は、吸気側の5時の方向ですが、最も典型的なところです。
2バルブシングルプラグヘッドの場合、1番2番は吸気側5時、3番4番は吸気側7時を中心に棚落ちするケースが最も一般的です。
どういうことか・・・燃焼室内で最も温度が低く火炎伝播速度が遅いのが吸気側、そしてプラグから遠いのは、1番2番は5時方向、3番4番は7時方向です。
点火プラグにスパークした瞬間、その周辺の混合気に着火し、その火炎は燃焼室内に燃え広がって行きますが、燃焼室内排気側と比較して、吸入側は新気によって冷やされて温度が低い状態にあることで燃焼速度が遅いのですので、火炎が届くのは燃焼の最後の方となります。
燃焼室内は、排気側を中心に火炎が燃え広がることで燃焼室内の圧力が急上昇していますので、その圧力によって吸入側に取り残された混合気が急激に圧縮されて火炎伝播による正常なものとは異なる燃焼を開始してしまい、これが正常な火炎伝播による燃焼と衝突し、衝撃波を生み出します。この衝撃波が燃焼室表面やピストン表面を守っている熱境界層を破壊し、それによって溶解してしまうというのがデトネーションによるピストン棚落ちや燃焼室溶解の正体です。
この、デトネーションのプロセスについて詳しく書き始めると、それこそ1冊の本になってしまうくらいですので、ここではこの程度で・・・詳しく知りたいという方は、図書館に行って、内燃機関の燃焼工学に関する書籍を漁ってくださいね。




シリンダーヘッドはこのような状態です。
1番の燃焼室内は、折れたトップリングの破片による傷がたくさん付いているのがわかります。4番は軽いオイル下がりを起こしていたようです。
2番と3番も黒くカーボンが付着していますが、これは、数百kmをペースダウンした状態で走った末のことですから当然ですが、反面、プラグは真っ白に焼けています。
相当にキャブセットが薄かったものと思われます。

RIMG7343.jpg







1番の燃焼室をアップしてみましょう。
損傷は軽くはありませんが、なんとか使えるレベルにとどまっています。

RIMG7349.jpg






デトネーションを起こしていたのは1番だけなのかと言えば、そんなことはありません。
全てのピストンに、程度の差こそあれど出ています。
トップリングの上付近、表面がプツプツと泡を吹いたようになっているのがわかりますね。
デトネーションによって表面が溶けはじめているのです。
ただ、1番だけが先にトロッと溶けた・・・

RIMG7339_20130614142655.jpg







こうなった原因について、主にはふたつです。
まず、点火時期が早すぎたこと、次に、キャブセッティングが薄かったことです。
個々のマシンによって限界値は異なりますので、ここで具体的な点火時期の値やキャブセッティングのジェッティングついて書くことに意味はありません。
重要なことは、これらの設定を誤ると、さしたるハイチューンエンジンでなくても、いや、ノーマルエンジンであってもこうなる危険性はあるということを認識し、そうならないようにきちんとセッティングするということです。

ちょっと話は今日の本題から外れますが、このピストンを見て、「これで1万km・・・ははぁ~ん、さては・・・」と気づく人もいるでしょうねぇ・・・



と、ここまでは、単なるセッティングミスによるエンジンブローという単純な原因と結果の話なのですが、本題はここからです。
今回のエンジン、フルオーバーホール後わずか1万km程度でブローしてしまい、予定外の分解作業をしたことによって、ある事実が浮き彫りになりました。
今回のブローについての本質的な原因ではありませんが、1番だけが激しく溶解した理由には該当するかな・・・

さて、どこまで書くことにしましょうか・・・


※追記
その後の検証により、このピストン溶解に至った主たる原因は、ウオタニSP-2フルパワーキットの点火カーブにあることが判明しました。
あまりに急激に進角が立ちあがる特性が、チューニングされたエンジンには本質的に合わないということです。
この問題を解決するため、チューニングされたエンジンにマッチする点火カーブを持たせたオリジナルSP-2を開発することにしました。
その経過については、こちらにあります。
オリジナルSP-2の開発








※続報
渡辺さんが、GSX1100S刀用74mmピストンキットを完成させました。
価格は153,300円、残りは1セットのみです。
昨日初公開情報なのに残りは1セット・・・早いもの勝ちですよ。
確保については、私宛にメール若しくは電話にてお願いします。
キットの詳細は、こちらをご覧ください。
GSX1100S用74mmキット


そうそう、GS1000用73mmキットも残り1セットになりました。
もう、これで最後です。
GS1000用73mmキット




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マルチスパークアンプ(MSA)については、こちらのカテゴリーにまとめていますので、ぜひお読みになってください。
マルチスパークアンプ

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CRキャブレター用「Mノズル」、新型となってさらなるパフォーマンスアップを果たしました。
価格
1個 4,200円(税込)




RIMG1314.jpg



CRキャブレターのパフォーマンスを劇的に向上させることができる「Mノズル」発売以来、1年半の間に2,000個をデリバリーするほどにご支持をいただいてきましたが、今回、さらにパフォーマンス向上を実現したニューバージョンへと進化を遂げました。



インプレ集(必読です)
・新型Mノズル
http://mameshiba198.blog129.fc2.com/blog-entry-1255.html
・Mノズル
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ご注文に際しては、下記の事項について記載の上、メールにてお願いいたします。
事務処理の都合上、身内も含めて、これまでにお取引のある方についても、所定事項について漏れなくご回答の上、必ずメールにてお願いします。
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クランクケース減圧バルブ「レデューサー」
価格
ツインリード  1個 28,980円
クワッドリード 1個 49,980円
その他、オイルセパレーター等のオプションパーツについてはお問い合わせください。



prv02.jpg



クランクケース内圧が、いかにエンジンのパフォーマンスを阻害していたのか・・・これを装着して走り出した瞬間に実感するに違いありません。
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http://mameshiba198.blog129.fc2.com/blog-category-1.html
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すでに私も中毒患者・・・

RIMG1306.jpg
RIMG1308.jpg


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ルブロス製品




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