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新型Mノズルの開発 その2(プライマリチョーク効果と関連して、傾斜面の意味について)

先日の記事に書いたとおり、キャブレターにおけるプライマリーチョークの役割とは、下記のようなものです。
プライマリーチョークの持つ機能というのは、全てのキャブレターに共通の原理的要素ですので、これを理解せずしてキャブレターのなんぞやを語ることはできません。
にもかかわらず、プロを自称する人を含めて、ほとんどの人が概要すら把握していないというのが現実です。
まずは、下記の定義概要をしっかりと読み込んでください。

※ プライマリーチョーク効果
気化器のプライマリーチョークは、気化器よりエンジンへ供給される燃料流量特性を高速域において立たせる(濃くする)手段として良く使用される。
具体的には、メインノズルの下端をフロート室の一定液面下に没入させるとともに上端を気化器本体のベンチュリー内に開口し、一方メインノズルの上端近傍の周囲に、メインノズルを囲繞するとともにベンチュリー内吸気路に開口する環状空気室を設け、当該環状空気室に主空気通路を介して空気を導入したものであり、更に環状空気室の少なくともエアークリーナ側には吸気路内に突起する壁部が設けられる。以上によれば、燃料はフロート室より空気が混入されない状態でメインノズルの上端より環状空気室に吸出され、この燃料が環状空気室に供給される空気と混合されて吸気路内に吸出されるものであり、もって機関の高速域における空燃比の希薄化を抑止できたものである。かかる気化器のプライマリーチョーク装置は公知である。




つまり、メインノズルを取り囲むような形で壁を作ることで、その壁の内側(環状空気室)に負圧帯を形成し、それによってガソリンの吸出し効率を高めようとするわけです。

この矢印で示しているところがプライマリーチョークです。

DSC00729_20120620105413.jpg






壁によって形成される環状空気室とはここのことです。

DSC00737_20120620105412.jpg





高速域(高開度域)での燃料吸出し効率を高めるためには有効なプライマリーチョークですが、問題点もあります。
吸出し効率が高まるのは、高速域だけではない・・・いや、それどころか、どちらかというと、低速域(低開度域)における効果の方が高いのです。
すると、高速域で十分な効率を得るようにプライマリーチョークを設定した場合、低速域で流量が立ち過ぎる、つまり、濃くなり過ぎるという問題が起こります。
それならば、JNストレート径とNJ内径の差を小さくする、つまり、JNストレート径セッティングで絞ればいいではないかと考えると思いますが、そう簡単なことではありません。
プライマリーチョーク効果によって流量過多になっているということは、そこに過剰な負圧がかかっているということですので、JNストレート径とNJ内径の差を変更したことによる流量変化が大きくなり過ぎてしまいます。
つまり、ストレート径ワンランク変更(通常は100分の1mm)による空燃比変化が大きくなり過ぎますので、JNとNJの加工公差も厳しくなりますし、気温や気圧などの条件変化による変動もシビアになってしまうのです。

よって、高速域におけるメインノズル負圧を維持したまま、低速域におけるそれを適度に減じたい・・・つまり、プライマリーチョーク効果の調整のために使われるのが、スロットルバルブ下端部の切欠き、すなわちスロットルバルブカッタウェイです。

スロットルバルブにカッタウェイを設けることよって、低速域から中速域にかけての気流角度を、プライマリーチョーク及びメインノズルに対して上方から当たるようにすることで、メインノズル負圧を減じることができるようになります。換言すれば、実質的なプライマリーチョークの高さ、つまり負圧帯を形成するための壁の高さを実質的に低いものにすることができるというわけです。
スロットルバルブがさらに上がって中開度以上になれば、この、気流角度を上方からに変更した効果は薄れ、当初に設定したプライマリーチョーク効果を発揮するようになりますので、これをもって、低速域を中心にプライマリーチョーク効果を調整することができるということになります。

ほとんど全てのキャブレターに、プライマリーチョークが装備され、スロットルバルブにはカッタウェイが設けられていることからも、これは、キャブレター構造としては、ごく一般的、主流とも言うべきつじつま合わせであることがわかります。


ところが、ここでまた新たな問題が発生します。
スロットルバルブにカッタウェイを設けたことで、ベンチュリー内の気流速度は相当なオーダーで確実に低下します。つまり、流速が落ちてしまうということです。
そもそも、単位時間あたりにいかに多くの混合気を吸入するか、それは、エンジンの出力を稼ぐための本質的な部分です。まあ、あっちを立てればこっちが立たずという悩ましい問題を解決するための、背に腹は代えられないという事情があってのカッタウェイですから、仕方ないとも言えるのですが、それでも、流速が落ちるというのは大問題・・・
なぜなら、流速低下は、単位時間内吸入量の減少のみならず、ベンチュリー内での霧化性も相当に阻害するのです。
そう、吸い上げたガソリンとベンチュリー内の空気の混ざりが悪くなるということです。
これはまた、エンジンの燃焼効率を相当に低下させる要因となります。


整理しましょう・・・

理想は、高速域での流量を確保するためのプライマリーチョーク設定をし、それによって低速域で負圧過多になる問題を解決するために、低速域でのメインノズル負圧を減じたいのだが、霧化性の確保を考えた場合、ベンチュリー内流速を落としたくはない・・・
つまり、低速域におけるメインノズル負圧を減ずるため、スロットルバルブカッタウェイを大きくする以外の手法がないのかということです。



ここまで真剣に読んでいただいた方なら、「ははぁ~ん」とうなづいたのではないでしょうか・・・
そう、Mノズルに設けられた手前側の傾斜は、そのための形状なのです。

DSC05043.jpg







Mノズル、つまりはプライマリーチョークの手前側に傾斜部分を設けることで、メインノズル負圧を減じるのです。そして、この手法によれば、ベンチュリー内流速を落とすことはありません。いや、それどころか、それまでは、スロットルバルブカッタウェイをそれなりの大きさに設定しなければならなかったところ、これを小さくする余地が生じます。
手前側の傾斜を適宜調整することで、それまではカッタウェイによって低速域の負圧調整をしていたところ、これに依存する度合いが少なくなりますので、より小さなカッタウェイにすることができ、それによってベンチュリー内流速を、それまでよりも上げることができるようになります。
このことは、単位時間あたりの吸入量を増加させることができる・・・すなわち、エンジンの出力向上に直結するということです。

ですので、理想は、Mノズルを装着すると同時に、よりカッタウェイサイズの小さなスロットルバルブに交換するのがいいということです。これによって、Mノズルのパフォーマンスをより発揮することができるようになる・・・いや、それどころか、これをセットで行わなければ、いわば片手落ちというわけです。当然のことですが、まかり間違っても、カッタウェイサイズを大きくするなどということをしてはいけません。

DSC05021_20120620105410.jpg







キャブレターセッティングというものは、妥協点の模索にほかなりません。
何かを追求すれば、必ずネガが発生し、そのネガを消すために、別の策を講じる・・・そんな積み重ねということです。
しかし、エンジンの吸気系としてのキャブレターが本来果たすべき役割のことを忘れてはなりません。
それは、
・単位時間当たりの吸入量をいかに稼ぐか
・幅広い領域において、適正な混合比かつ、霧化の進んだ混合気を形成するか
という2点に集約されるのです。

反面、人間がコントロールするものですから、唐突さのない、優れた過渡特性を持たせるというのも重要なことです。しかし、それに走るがあまり、本来において追求すべき役割に齟齬を生じさせるべきではありません。本末転倒とはそういうことを言うのです。

安直にカッタウェイサイズを大きくするのもそうですし、スロットルバルブのおかしなところに穴を開けるなんていうのもそうです。
いずれも、意図するところはわからないではありませんが、ベンチュリー内流速を下げるとともに、霧化性を著しく阻害するなど、そのネガは無視することができません。

本来において果たすべき役割をしっかりと押さえつつ、必要な過渡特性を高い次元で得られるような努力を重ねるというのが、キャブレターセッティングの正道というのが私の考えですし、そういったしっかりとした、ブレのない軸を持った開発をすることが、結果としてはトータルで次元の高いものになるはずです。


次回は、Mノズルの穴についてです。




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